未病を治す

未病とは

「未病を治す」というアプローチは、「ヘルスケア・ニューフロンティア」の根幹をなす考え方である。

「未病」とは、東洋医学の概念で「病気ではないが、健康でもない状態」とされる古くからある考え方であるが、神奈川県では、これを発展させ、「心身の状態を健康と病気の2つに区分するのではなく、体全体が常に変化している状態を表す概念」と捉えている。

「未病を治す」とは、個別の疾患の発症を防ぐ「予防」にとどまらず、体全体の状態をより健康な状態に近づけることをいう。「未病を治す」ことについて、県民のライフスタイルの見直しを促す動機付けや、行動変容に繋がる取組みを推進している。

特に豊富な地域資源を持つ県西地域については、「未病の戦略的エリア」と位置づけ、「未病を治す」取組みを実践する場として、新たな活力を生み出すためのプロジェクトを推進している。

また、2014年1月に発表された「未病を治す神奈川宣言」では、未病の概念を県民文化として育てること、また、そして社会のあらゆる主体が協力しあって、未病を治す取組みを展開するという2つの理念のもと、「食」、「運動」、「社会参加」の3つの具体的な取組みを進めることとしている。

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© Healthcare New Frontier Promotion Bureau, Kanagawa Prefectural Government

未病産業創出

「未病産業」は「未病を治す」ことにつながる具体的な商品やサービスなどを提供する産業である。

具体的には、健康を維持・増進する産業、各種のセンサー機器で「未病」をモニタリングする産業、収集した健康データをクラウド化する産業など、従来の健康・ヘルスケア産業だけでなく、幅広い産業を包括するものである。

神奈川県では、こうした未病産業を創出していくため、2014年8月に「未病産業研究会」を発足した。現在、250社を超える様々な企業・法人が参加し、新たなヘルスケアビジネスとなるモデル事業の実施や企業間のマッチング、情報交換などの未病産業の創出に向け、様々な活動を展開している。

健康管理最高責任者(Chief Health Officer)

CHO(Chief Health Officer) 構想とは、企業や団体などが、従業員やその被扶養者の健康づくりを企業経営の一部として位置づけ、経営責任として従業員等の健康マネジメント、いわゆる「健康経営」を進め、企業の「労働生産性向上、健康満足度向上、医療コスト削減」といった経営指標を調和的に改善させることにより、企業全体のパフォーマンスを向上し、その結果として企業の経営価値向上に資する取組みである。

このCHO構想を普及するため、CHO構想に取り組む企業の拡充を目標として、平成26年10月にCHO構想推進コンソーシアムを設立した。さらに、CHO構想の本格拡大を図るため、CHOを導入している企業の事例を詳細に分析し、具体的な効果等の可視化を行っている。また、CHO構想を推進していく上で、課題ごとの導入計画を策定し、コンサルティングを通じて、各企業で実証を行い、実証を通じて「個人の健康度、健康経営、企業価値」等の評価モデルを策定する取組みも進めている。