日本の公的医療保険制度においては、医師が医薬品を処方する際には、有効成分の一般名を用いることが原則となっている。ただし医師が処方箋に署名等を行えば、先発医薬品を指定し、後発医薬品への変更をしないように指示することもできる。また薬局は、医師からの特段の指示がない限り、患者への説明と同意を得たうえで後発医薬品を使用することが推奨されており、後発医薬品を積極的に調剤する薬局に対するインセンティブも設定されている。
なお、後発医薬品の処方・調剤について、日本と同様の仕組みを採っている国としては、フランスが挙げられる。フランスでは、薬局における後発医薬品による代替調剤を拒否した場合には、患者が薬局で全額自己負担をしたうえで、別途償還の申請が必要となる仕組みを導入するなど、後発医薬品の使用を強力に推進している。
一方、日本と異なる仕組みを採っている国としては、アメリカが挙げられる。アメリカでは、患者が契約する保険の内容によって使用できる医薬品が決まっており、医師や薬局による自由度は低く、どの医薬品を採用するかについては、保険者であるHMO(Health Maintenance Organization)が製薬会社との交渉によって決定している。
後発医薬品は治験が不要であることから、研究開発費用が先発医薬品に比べて大幅に少なくて済むため、製薬会社としては先発医薬品よりも安い価格設定であっても、利益を確保することが可能である。そのため日本の公的医療保険制度においては、後発医薬品の償還価格は、先発医薬品の半額以下という大幅に安い水準に設定されることが通例である。
また日本の公的医療保険制度においては、償還価格を決定する際に、市場の実勢価格を参照することとしている。そのため、同じ有効成分を含む後発医薬品が複数あり、市場での価格競争が起きれば、それを反映してより安価な償還価格が設定されることとなる。
後発医薬品が承認され、公的医療保険の適用対象として選定(薬価基準収載)されるタイミングは、年に2回(6月と12月)ある。
後発医薬品が初めて薬価基準収載される場合、基本的には先発医薬品の薬価の50%とするルールとなっている。ただし例外規定が2つあり、内服薬については、薬価基準への収載希望品目数が10品目を超えた場合に先発医薬品の薬価の40%、バイオ後続品(バイオシミラー)については先発医薬品の70%にそれぞれ設定される。
さらに薬価については、最初に薬価基準に収載された後、市場実勢価格の変化に基づき、2年ごとにすべての薬価基準収載医薬品を対象に実施される薬価改定において、少しずつ引き下げられることとなっている。その際、複数の後発医薬品があるケースにおいては以下の通り、価格帯ごとに一つの価格を設定する措置がとられている。
- 最高価格の30%を下回る算定額となる後発品を一つの価格(加重平均)として収載
- 最高価格の30%以上、50%を下回る算定額となる後発品を一つの価格(加重平均)として収載
- 最高価格の50%以上の算定額となる後発品を一つの価格(加重平均)として収載