「ヘルスケア・ニューフロンティア」の2つのアプローチ

「ヘルスケア・ニューフロンティア」は、超高齢化社会の到来という急激な社会変化を乗り切り、誰もが健康で長生きできる社会を目指す神奈川県の新たなプロジェクトである。このプロジェクトは「未病を改善する」アプローチと、「最先端医療・最新技術の追求」のアプローチから成り立っている。

© Healthcare New Frontier Promotion Bureau, Kanagawa Prefectural Government

ヘルスケア・ニューフロンティアのもう一方のアプローチとして、「最先端医療・最新技術の追求」がある。神奈川県内には、従来より、医薬品、医療機器メーカーの工場や研究所、関連大学・研究機関等が集積しており、最先端の医療・ライフサイエンス分野に係る研究面及び産業面での蓄積がある。
さらに、神奈川県は、超高齢化に伴う医療ニーズの増大や、希少疾患等のアンメットメディカルニーズへの対応、及びiPS細胞等の幹細胞やロボット技術を活用した革新的医療の開発・実用化に向けて、取り組んでいる。
これらの施策を通じて、超高齢化に伴う課題の解決や、新たな産業・雇用の創出を図るため、神奈川県は「最先端医療・最新技術」の研究開発及び実用化に、積極的に投資している。
ここでは、医薬品、医療機器、再生医療等製品の実用化のために必要となる「臨床研究体制」の強化、今後大きな成長が期待される「再生・細胞医療」、「ヘルスケアロボット」に関する取組みを紹介する。
「未病を改善する」というアプローチは、「ヘルスケア・ニューフロンティア」の根幹をなす考え方である。
「未病」とは、東洋医学の概念で「病気ではないが、健康でもない状態」とされる古くからある考え方であるが、神奈川県では、これを発展させ、「心身の状態を健康と病気の2つに区分するのではなく、体全体が常に変化している状態を表す概念」と捉えている。
「未病を改善する」とは、個別の疾患の発症を防ぐ「予防」にとどまらず、体全体の状態をより健康な状態に近づけることをいう。「未病を改善する」ことについて、県民のライフスタイルの見直しを促す動機付けや、行動変容に繋がる取組みを推進している。
特に豊富な地域資源を持つ県西地域については、「未病の戦略的エリア」と位置づけ、「未病を改善する」取組みを実践する場として、新たな活力を生み出すためのプロジェクトを推進している。