日本の国土と人口構成

日本は東アジアに位置する島国であり、国土総面積は約377,900平方キロメートルである。本州、北海道、九州、四国と沖縄本島のほか6800を超える島から構成されており、47の都道府県が地方公共団体として自治権を持つ。

日本の総人口は約1億2700万人であり、およそ90%が都市部や市街地に居住している。2015年現在、総人口の約36.4%が東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県に集中している。そのうち東京都の人口が最も多く、総人口の約10.6%にあたる1

現在、人口の高齢化と低出生率が日本の保険医療制度が直面している2つの大きな課題となっている。

  • 2017年2月現在、65歳以上の高齢者が全人口の27.6%を占めている1。また、この数字は2060年までには40%に達する見込みである2
  • 老年人口指数(65歳以上の老年人口と15歳から64歳までの生産年齢人口の比率)は2015年の時点で秋田県が最も高く(60.7)、次に高いのは高知県(59.2)であった。一方、最も低いのは沖縄県の(31.2)であり、2番目に低い割合を示したのは東京都(34.3)であった3
  • 2015年の出生率は全国で1.45である。出生率は東京で最も低く1.24であり、最も高い沖縄では1.96であった3

日本人の平均寿命は女性が91.35歳、男性が84.95歳と世界トップレベルである2。厚生労働省とOECDによる2015年時点の日本の主要死因別死亡率は以下に示す通りである 。

また、2014年のWHOの統計によると、日本の総死亡数のうち約79%は非感染性疾患(NCD)によるものであり、そのうち約30%はがんによる死亡である。また、心臓病による死亡が約29%、その他の非伝染性疾病による死亡が約12%である4


主な死因死亡率
(人口10万人あたり)3
OECD加盟国の死亡率(人口10万人あたり)5
(データが利用可能な国のみ)
がん295.5271
心臓病156.5117
肺炎96.5n/a
脳卒中89.466
老衰67.7n/a
不慮の事故30.6n/a
自殺18.519.3
腎不全19.6n/a
結核1.6n/a




コラム:東京で進む超高齢化

高齢化は日本国内で均一に進むものではない。東京 およびその近郊、大阪、名古屋といった大都市圏では、特に劇的な高齢化が急速に進行すると考えられている。高橋*によると、2010~2025年にかけて全国で700万人の後期高齢者(75歳以上)が増加、その増加分の50%以上が首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)・大阪圏・ 名古屋圏に集中する。一方で、それら3圏域は国土面積のわずか2%であり、「超高齢化」は大都市でより進むことが分かる。特に東京中心部(23区内)では高齢者 向け施設のベッド数は全国平均の半分であり、施設不足が深刻になる恐れがあると高橋は指摘している。


*引用: 高橋泰:第9回社会保障制度国民会議資料「医療需要ピークや医療福祉資源レベル の地域差を考慮した医療福祉提供体制の再構築。2013年。



障害調整生存年数(DALYs)*に焦点を当てると、疾病負荷が特に高いのはがん、心臓病、糖尿病、精神・神経系疾患、筋骨格疾患、呼吸器系疾患、その他の非伝染性疾病、外傷、感染症である6。今後、人口の変化と高齢化に伴い、生活習慣病や変性疾患による疾病負荷が増大すると考えられている。

2015年の世界銀行の試算によると、日本の5歳未満児死亡率(U5MR)は出生1,000人あたり3人である。また、妊産婦死亡率は出産10万件あたり6人であり、これは1990年と比べて約50%減少している7

 

*障害調整生存年数(DALY)とは特定の疾病や傷害による健康の損失(疾病負荷)を示す指標である。「死が早まることにより失われる生存年数(YLL)」および「健康でない状態で過ごす年数(YLD)」の合計により算出される8


コラム:高齢者も増えない「人口減少社会」

2010年から2040年の人口推移を年齢別にみると、日本で高齢者として定義されている65歳以上人口が約900万人増加する一方で、0-64歳人口は3000万人と大幅に減少するとみられている。2040年 前後から高齢者の絶対数の伸びはフラットになる、つまり 高齢者は増加しないが、現役世代の大きな減少により、総人口は15%程度減少、そして高齢化「率」が上がることとなる。

参考文献

1 Statistics Bureau, Ministry of Internal Affairs and Communications (1 February 2017). Monthly report of population estimates: 2017. (accessed on 25 July 2017) Retrieved from: http://www.stat.go.jp/english/data/jinsui/tsuki/index.htm.

2 Cabinet Office (2017). Annual Report on the Aging Society. Retrieved from http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/zenbun/29pdf_index.html

3 Ministry of Health Labour and Welfare (2017). Vital Statistics in Japan. Retrieved from: http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf

4 World Health Organization (2014). Noncommunicable diseases country profiles 2014: Japan. Retrieved from: http://www.who.int/nmh/countries/jpn_en.pdf?ua=1

5 OECD (2015). Health at a Glance 2015: OECD Indicators. Paris: OECD Publishing, 2015.

6 World Health Organization (2015). Japan: WHO statistical profile. Retrieved from: http://who.int/gho/countries/jpn.pdf?ua=1 (accessed on 24-07-2017)

7 The World Bank (2015). Mortality rate, under-5 (per 1,000 live births). Retrieved from : http://data.worldbank.org/indicator/SH.DYN.MORT

8 World Health Organization. Metrics: Disability- Adjusted Life Year (DALY). Retrieved from: http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/metrics_daly/en/ (accessed on 24 July 2017)