神奈川県では、個人・患者中心のヘルスケアを実現し、「健康・安心・幸福」が持続する社会を目指している。このため、行政が牽引役となり、県民、医療機関、企業などさまざまな主体が、電子カルテ、治験・投薬データなどの健康・医療情報を効果的に活用できる仕組み(ヘルスケアICTシステム)の構築を目指している。
また、ヘルスケアICT基盤のアプリケーションとして、個人の健康管理に資する様々なシステムの構築を行う「マイME-BYOカルテプロジェクト」に取り組んでいる。
ヘルスケア・ニューフロンティアを支える基盤
ヘルスケアICTの推進
人材育成
神奈川県では、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みを加速化し、より効果的に実現するため、アカデミアや研究機関と連携し、ヘルスケア・ニューフロンティア施策を担う、優れた国際的な医療人材の育成に努めている。優れた国際的な医療人材とは、イノベーションを実現する人材、例えば、医学のみならず、工学や経営学などの複数の分野の幅広い知識を持ち、海外に発信し、最先端医療の進展や未病産業の発展を担うことのできる人材のことである。 現在実施している具体的な取り組みとしては、ヘルスケアと関連した多様なテーマで、一般県民や学生向けに国内アカデミアと連携して公開講座を実施している。 また、アメリカの政府機関(NIH/NCATS)とトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)及び人材育成のシンポジウムを神奈川で合同開催したほか、シンガポールにおいては、シンガポール国立大学(NUS)と神奈川の大学等とで連携した医療セミナーも開催するなど、海外機関との連携も積極的に行っており、世界最先端の知見を取り入れた人材の育成に向けて取り組んでいる。 将来的には、神奈川県が主体となってこうした人材を育成する養成機関「メディカル・イノベーションスクール」を設置することを目指しており、現在設置に向けた様々な取り組みを進めている。 国内のアカデミアと連携した取り組みとしては、ヘルスケアと関連した多様なテーマで、一般県民や学生向けに公開講座を実施している。
神奈川県における3つの特区
神奈川県では、ヘルスケア・ニューフロンティアの取組みを進めるにあたって、「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」「さがみロボット産業特区」「国家戦略特区(東京圏)」の3つの特区を活用している。 神奈川県では、これら3つの特区を最大限に活用して、規制改革を進め、最先端医療関連産業、健康・未病産業、ロボット産業の創出を進めている。
実際に、公益財団法人実験動物中央研究所や、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社東京サイエンスセンターなど、複数の研究機関や企業の拠点が特区内の拠点に集結しつつあり、今後、企業進出等はさらに増える見込みである。また、これらの特区は産業成長を促す拠点であることに加え、「未病産業」の拠点でもある。未病の概念とそれに取り組む新たなアプローチは、それ自体が成長分野として企業関係者の注目を集めており、富士フイルム株式会社や味の素株式会社など、元々はヘルスケア市場に参入していなかった日本の大手企業も、「未病産業」という新たな産業分野に進出を始めている。
© Healthcare New Frontier Promotion Bureau, Kanagawa Prefectural Government
さがみロボット産業特区
神奈川県の中心に位置する「さがみロボット産業特区」では、医療・介護ロボットなど生活支援ロボットの実用化を通じた県民生活の安全・安心の確保及び地域経済の活性化のため、ロボットの開発・実証、普及啓発の促進や関連産業の集積促進などに取り組んでおり、最先端医療の実現、未病を治すことの両面から、ヘルスケア・ニューフロンティアの実現に取り組んでいる。
具体的には、総合特区制度による規制緩和を活用しながら、県民生活に大きなインパクトを与える案件等を支援する「重点プロジェクト」、全国から実証案件を呼び込む「『公募型』ロボット実証実験支援事業」、中小企業の技術を結集してニーズ志向の開発を行う「神奈川版オープンイノベーション」の3つの取組により、開発・実証を促進している。
国家戦略特区(東京圏)
2014年5月、神奈川県は日本全国で6つの区域が指定された国家戦略特区の1つとして指定された。国家戦略特区は安倍内閣の経済政策「アベノミクス」の第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」の中で打ち出されたものである。
当時、神奈川県はすでにヘルスケア産業とイノベーションに着目したヘルスケア・ニューフロンティア政策を通してイニシアチブを取っており、それにより特区の指定を受けることとなった。神奈川県では、国家戦略特区を活用して、以下の4つの事業に重点的に取組んでいる。
1. 健康・未病産業の創出
2. 最先端医療産業の創出
3. ロボット産業の創出
4. 国際的医療人材の育成
京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区
神奈川県、横浜市及び川崎市が共同で推進する、2011年12月に国に指定された「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」では、京浜臨海部に集積する産業基盤等の地域資源を最大限に活用しつつ、グローバル企業が先導して医薬品・医療機器産業を活性化させ、国際競争力の向上、関連産業や中小企業等への波及効果を引き出し、経済成長とライフイノベーションの実現に向けた取組みを推進している。現在は、殿町区域(川崎市)や末広区域(横浜市)など17の区域が指定されており、ライフサイエンス産業の集積拠点の形成を進めている。
また、特区の目標である「個別化・予防医療時代に対応したグローバル企業による革新的医薬品・医療機器の開発・製造と健康関連産業の創出」の早期実現に向けて、規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置等を活用しながら、①健診データを活用した検体バンク・検体情報ネットワークの整備、②革新的な医薬品・医療機器の新たな解決手法の確立と国際共同治験の迅速化、③ニーズ主導のマッチングによるベンチャー企業等の創出、産業化に係る取組を行っている。
神奈川のグローバルネットワーク
神奈川県の中心に位置する「さがみロボット産業特区」では、医療・介護ロボットなど生活支援ロボットの実用化を通じた県民生活の安全・安心の確保及び地域経済の活性化のため、ロボットの開発・実証、普及啓発の促進や関連産業の集積促進などに取り組んでおり、最先端医療の実現、未病を改善することの両面から、ヘルスケア・ニューフロンティアの実現に取り組んでいる。
具体的には、総合特区制度による規制緩和を活用しながら、県民生活に大きなインパクトを与える案件等を支援する「重点プロジェクト」、全国から実証案件を呼び込む「『公募型』ロボット実証実験支援事業」、中小企業の技術を結集してニーズ志向の開発を行う「神奈川版オープンイノベーション」の3つの取組により、開発・実証を促進している。
© Healthcare New Frontier Promotion Bureau, Kanagawa Prefectural Government