5.1医療費適正化計画

急速に進む高齢化等による医療費の過大な伸びを抑制するため、様々な医療費適正化対策が実施されている。その中の1つとして「医療費適正化計画」がある。国が策定する「医療費適正化基本方針」で示す取組み目標・医療費の推計方法に即して、 都道府県が「医療費適正化計画」を作成する[1]。

第1期(2008~2012年度)、第2期(2013~2017年度)では、5年を1期として実施され、「平均在院日数の短縮」と「特定健診等の実施率の向上」が取組み目標の柱であった。2018年度から開始予定の第3期(2018~2023年度)では、6年を1期として実施され、適正化の取組み目標として、「特定健診等の実施率の向上」に加えて新たに「糖尿病の重症化予防の取組み」「後発医薬品の使用促進」「医薬品の適正使用(重複投薬、多剤投与の適正化)」が盛り込まれた。入院医療費については、「病床機能の分化・連携の推進の成果」を踏まえ推計されることとなった。


医療費適正化基本方針の2018年度以降に向けた具体的方向性

2017年度末までに策定される医療費適正化基本方針(大臣告示)の具体的方向性については、都道府県が医療費目標を推計するための算定式(外来医療費・入院医療費)や都道府県が推進する医療費適正化の取組み(可能なものは数値目標化)などがあげられる。具体的な方向性については以下の通りである。

 

―外来医療費

都道府県の医療費目標については、過去の動向も踏まえ、2023年度の医療費から医療費適正化の取組みの効果を反映した医療費目標とする。効果の反映は2段階とし、第1段階は、特定健診・保健指導実施率、後発医薬品の使用割合の全国目標の達成に向けた取組みの推進に応じて、医療費の縮減額を反映させる。第2段階は、第1段階を経てなお残る1人あたり医療費の地域差について、ヘルスケアポイントの実施等による健康づくりへのインセンティブ対策の強化や、重複投薬の是正等の取組みの推進により、縮減を目指すこととされた。

 

―入院医療費

病床機能の分化及び連携の推進の成果等を踏まえ推計する。患者の状態に応じて病床機能の分化・連携を推進する。病床機能の分化では、高度急性期、急性期を減らし、回復期を拡充する。医療費の地域差については、入院医療費と病床数に高い相関があることから、都道府県は医療費適正化計画作成にあたって、地域医療構想と整合的に策定することとされた。最終的には、入院医療費の地域差半減を目指す。

 

―地域差の「見える化」

国がNDB(ナショナル・データ・ベース)を利用した分析を実施し、各都道府県の疾病別医療費の地域差、後発医薬品使用促進の地域差、重複・多剤投薬の地域差などの見える化を行い、都道府県における分析作業の参考とするために、データセットとしてまとめたものを都道府県に提供することとされた。

参考文献

[1] 厚生労働省「医療費適正化基本方針の改正・医療費適正化計画について」http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000148008.pdf(アクセス日2017年11月27日)