新潟県南魚沼保健所の事例

取り組みの背景

  • 平成22年度に、エイズを含む性感染症の課題を見直すことになり、平成23年度より性に関する情報交換会を始めた。情報交換会を通じて、思春期の効果的な性教育が必要であること、一方で講師をする人材が不足していることが分かった。これを踏まえ、平成26年度から平成28年度までに計4回開催した思春期の性と健康支援に関する検討会において、講師のリクルーティングおよび講師が活用できる教材作成を実施した。検討会の構成メンバーは、医療専門学校の教員、中学校の養護教諭、高校の養護教諭、医療機関の助産師、在宅助産師会の助産師、南魚沼保健所の保健師、市町の担当保健師、市町の教育委員会等。講師のリクルーティングにあたっては、医療職や健康教育に関わる関係者が参加する思春期健康支援研修会の出席者を中心に打診し、承諾いただいた場合はその講師が所属する組織に依頼をした。完成した教材は、平成28年度の授業で使用し、生徒や講師へのアンケートに基づき評価を実施した。生徒の知識向上・性へのイメージ向上に効果が得られたため、現在も統計データを更新しながら同じものを使用している。

取り組み内容

■外部講師派遣事業

対象者
  • 南魚沼保健所管内の全中学校(7校)の3年生
講師
  • 医療機関、市町、在宅助産師会、医療専門学校、保健所より選出された7名の助産師もしくは保健師
予算措置
  • 講師派遣の費用は各中学校が負担(派遣費用の必要な講師のみ)
実施頻度
  • 年に1回
内容
  • 作成した教材をベースに1時間程度、エイズ・性感染症の予防、からだのしくみ、望まない妊娠を防ぐ方法、困ったときの相談相手等について講義をする。学校の実態に合わせた項目が含まれることもある
  • 思春期健康支援研修会の中で意見交換会を実施し、各取り組みの共有を行っている
実施にあたっての講師の工夫や配慮
  • 事前に学校側との打ち合わせを十分に実施し、健康教育の内容を決めている
  • 生徒が分かり易い表現にし、言葉遣いにもなるべく配慮するようにしている

強み

  • 多職種連携
    • 保健所管内は、市と町が1つずつということもあり、顔が見える環境での連携を強みとしているため、それぞれの立場の意見や情報を共有しやすい。

課題

  • 講師の確保
    • 講師の依頼は組織単位で実施しているが、講師の先生の想いがあって対応していただいているところも多く、この体制がいつまで継続できるか不透明である。
  • 教材のアップデート
    • 思春期を取り巻く状況の変化に合わせた、既存の教材の見直し。

今後の展開の方向性

  • 事業の継続
    • 平成31年度を目途に今後の取り組みについて検討する場を設ける予定。

他のステークホルダーへの期待

  • 学校
    • 思春期を取り巻く環境が変わるなかで、現状に合った伝え方を取り入れてほしい。
  • 市町
    • 現在は保健所が学校等の関係機関との連携の中心だが、今後は市町主導の協力体制が構築できるとよい。
    • 子育て支援対策事業のなかに、思春期の教育も含めていってほしい。

インタビュー協力

【保健所担当者】

  • 新潟県南魚沼地域振興局 健康福祉環境部 医薬予防課

インタビュー実施:2017年11月

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