新潟県十日町保健所と十日町市 市民福祉部 健康づくり推進課の事例

取り組みの背景

  • 国によるエイズ対策の強化や健やか親子21の公示等の動きに伴い、関係者が保健所に集まるなどして取り組みが開始された。10年以上継続している。

取り組み内容

■高等学校の養護教諭の定例部会

対象者
  • 毎年2月に実施される県立高等学校の養護教諭の部会の1コマを使用して、保健所と市が連携して実施
参加者
  • 十日町保健所管轄内にある全高校(6校)の養護教諭
内容
  • それぞれが抱える課題の共有
  • 次年度の性教育講座の内容検討

■性教育授業への講師派遣

対象者
  • 高等学校、特別支援学校高等部、中等教育学校の全6校における全生徒対象
  • ※小・中学校(中等教育学校以外)は学校が主導
講師
  • 学校が提出した計画書の要望に沿って講師を選定し、講師との日程調整等は学校が実施
  • 市内の開業産婦人科医、助産師会の助産師、看護学校の教員、元養護学校教諭
予算措置
  • 県が4校分、市(保健部門)が2校分を負担
実施頻度
  • 年に1回
内容
  • エイズ・性感染症の予防、からだのしくみ、望まない妊娠を防ぐ方法、困ったときの相談相手について
  • 他、高等学校では望まない妊娠、LGBT、妊娠の適齢期、子宮頸がんについて、中等教育学校(1~3年生)では月経に伴う症状(月経前症候群や月経随伴症状)や月経の対処方法に加え、自己肯定感を高めるようなメッセージも含めている
  • 学校によっては、事前に生徒の要望を聞き、知識の前後比較をしている
  • 性感染症や避妊に関する知識レベルは、保健所でも経年で比較している
実施にあたっての工夫
  • 地域のデータを活用する、わかりやすい映像を使用する等、対象学年に応じて理解しやすく興味を持てる教材を使用

強み

  • 多職種連携
    • 県型保健所と市の共通事業として実施できている。
    • 各学校の養護教諭や講師である医師、助産師が、ともに地域の課題解決を目指し取り組めている。
  • 生徒が相談しやすい環境づくり
    • 講師が地域の医療提供者であるため、受講した生徒が講師に相談しやすい環境となっている。

課題

  • 講義の質の担保
    • 学校のニーズや生徒の実情に合わせ、質の良い講義を実施するため、講師(産婦人科医、助産師、保健師)への研修が必要。(保健所)
  • 個別ケースへの対応
    • 生徒全体の知識の底上げに対して、講師派遣は効果があると思うが、個別の悩みへの対応は養護教諭と連携する必要がある。(市)

今後の展開の方向性

  • 講師の質の担保
    • 講師のための公開講座等を実施し、互いに学びあえる環境を整備する。(保健所)
  • 養護教諭との密な連携
    • 妊娠出産に関しては市の方が状況を把握できることもあるため、養護教諭と連携をとり、個別相談が実施できる体制を整える。(市)
    • 小、中、高校の一貫した性教育を実施していくために、産科医療機関、養護教諭、行政と連携して課題や対策について検討して行く必要がある。(市)

他のステークホルダーへの期待

    • 生徒たちが正しい情報を収集できる場や相談できる場の提供。(保健所)
  • 学校
    • 全ての学校において、同一の教材を使用できると良い。(市)

インタビュー協力

【保健所担当者】

  • 新潟県十日町地域振興局 健康福祉部 地域保健課

【市担当者】

  • 十日町市 市民福祉部 健康づくり推進課

インタビュー実施:2017年11月

新潟県のその他の取り組み


地域密着型の各保健所の主体的な取り組みにより、地域の特性や課題にあった性教育を提供


妊娠期から継続して関われる地域の医療体制構築を目指し、高等学校での性教育授業に医療専門職の講師を派遣


独自に作成した教材と学校のニーズの組み合わせによる中学校の性教育授業への専門家派遣