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青森県
35年の継続により、文化として根付いた「産婦人科校医」による性教育
基本情報
- 性教育の指導方針
- 取り組みの概要
- 県立の高等学校および特別支援学校高等部に対する、産婦人科校医による性教育講義
- 教職員向けのセミナーや授業内容検討の研修会
取り組みの背景
昭和53年、青森県内で女子高校生の売春(買春)や人工妊娠中絶が相次いで報道された。この課題解決には、産婦人科医による「性の健康教育」が必要だと、当時の県医師会の産婦人科医が教育委員会に提案した。現在も校医を担当する産婦人科医は、多くの10代女性が望まない妊娠や性感染症を理由に自身のクリニックに通院していたことから、学生に対する性教育の必要性を感じた。
その結果昭和55年に、県立の女子高校に産婦人科医を校医として配置する事業が立ち上げられた。その後、共学への移行が進んだことや、性に関して現在・将来必要な知識を男女ともに得る機会を作るため、平成4年からは、青森県全域を対象とした現在の体制となった。
取り組み内容
■産婦人科校医制度
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講師 |
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予算措置 |
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実施頻度 |
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内容 |
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実施にあたっての工夫 |
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■性に関するセミナー
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予算措置 |
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内容 |
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■性に関する教育指導者研修会
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講師 |
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予算措置 |
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実施頻度 |
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内容 |
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強み
- 35年の実績。学校でも、産婦人科医による講義は当たりまえのこととして取り組まれている。(県・講師)
- 生徒向け、教職員向けと、バランスの取れた取り組みができている。(県)
課題
- 校医制度を担う産婦人科医の確保
- 将来に向け若手医師の育成が必要。県内の産婦人科医希望者が減っていることが懸念。(県担当者)
- 多くの中学校や私立学校での性教育講演も産婦人科校医が中心となり実施しているが、人手が十分とは言えず、今後は助産師、保健師、養護教諭、教師等との連携が必要である。この際、性教育に対する考え方の共通認識を持ち、質を担保する必要性がある。(講師)
- 効果的な事業評価の実施
- 地域の意見や課題を踏まえ継続的に事業が実施できている一方、若年層の人工妊娠中絶は減少していない状況もある。講義の内容を自分事として捉え、今後のライフプラン作成に活かすことが重要だが、中長期的な効果をどう測るべきか。(県担当者)
今後の展開の方向性
- 事業の継続事業の継続
- 県として独自の予算を確保し、事業を今後も継続したい。(県担当者)
- 外部講師の派遣サポートの強化
- 医師会、歯科医師会、薬剤師会、助産師会といった関連団体との繋がりはあるが、組織的な連携ではない。講師候補のリスト化等、学校が外部講師を呼びやすい仕組みづくりができると良い。(県担当者)
他のステークホルダーへの期待
- 国
- 文部科学省の「学校保健総合支援事業」は、各地域の事情に合った取り組みが可能。今後もぜひ継続してほしい。(県担当者)
- 学校の教師、親
- クラス担任の先生にも講義に参加してほしい。また、学校での教育は親世代が学ぶチャンスでもあるため、授業参観に盛り込む等、親子で話を聞く機会としても活用してほしい。(講師)
インタビュー協力
【県担当者】
- 青森県教育庁 スポーツ健康課 体育・健康グループ 指導主事(サブマネージャー) 坂上 佳苗氏
- 青森県教育庁 スポーツ健康課 体育・健康グループ 指導主事 濱端 美奈子氏
【講師(産婦人科校医)】
- あおもり女性ヘルスケア研究所 所長 蓮尾 豊氏
インタビュー実施:2017年11月