埼玉県

教職員向け教材や研修の充実により、全生徒が同じレベルの知識を得る機会を提供

基本情報


取り組みの背景

性に関する教育に力を入れるという国の方針に基づき、平成17年に「埼玉県 性に関する指導実践推進委員会(『平成29年度埼玉県「性に関する指導」課題解決検討委員会』に改称)」(以降、委員会)を立ち上げた。現在の委員は、埼玉大学の教育学部の教授(委員長)、地域の学校の校長(副委員長)、さらに小中高それぞれの学校の教職員が3名ずつ(養護教諭(1名)及び保健体育の教員(2名)と行政担当者。委員会では、学校現場で必要な教育について議論し、指導案等を学校に提案している。

指導案については授業研究会を実施するとともに、委員が自身の学校で実践し、指導者向け研会で紹介している。


取り組み内容

すべての生徒が性に関する正しい知識を知る権利があるという理念のもと、教職員向けの取り組みに力を入れている。
指導要領の内容を補完すべく、産婦人科医や助産師による授業を学校が希望する場合は、県内部衛生部局のネットワークなどを活用し紹介している。

■「性に関する指導」指導者研修会

対象者・全公立学校の小、中、高等学校の体育・保健体育の教員と養護教諭、保健主事が対象
・県内1,500の学校から、約500名が参加
・養護教諭が来ることが多い
講師・講師は、委員会委員や有識者からアドバイスを受け、性の指導に適切な方を選定
・モデル授業(実践事例)紹介は、委員が実施
予算措置・文部科学省「学校総合保健支援事業」(平成29年度まで)
実施頻度・年に1回
内容・行政説明、モデル授業(実践事例)紹介、外部講師の講演という流れ
・学習指導要領を基に講演テーマを設定しているが、不妊や梅毒等の近年の課題については詳細情報も提供
実施にあたっての工夫・指導に必要なテーマを幅広く学んでもらうため、毎年度講演テーマを工夫・検討
・現場のニーズに応えるため、参加者からのアンケート結果を踏まえて課題を委員会で議論し、翌年度以降の計画に反映する。教職員からは、授業の具体的な進め方(指導方法や時間の使い方)に関する意見が多い
・性に関する指導だけでなく、保健学習におけるヒントも多く伝えることで、教職員が興味を持てるようにしている

■学校健康教育必携

対象者・小、中、高等学校の健康教育に携わる教職員
予算措置・県の事業として実施
改訂頻度・年に1回
内容・学校健康教育の重点や考え方、健康教育の位置付け、最新の情報、取組事例等を紹介
・性教育関連では、性に関する指導・エイズ教育の項目があり、埼玉県教育委員会・埼玉県学校保健会による「新・なるほど保健学習」をはじめとした国・県等の参考資料も紹介
実施にあたっての工夫・教職員の負担を減らすため、可能な限り具体的な指導案を掲載
・県ホームページに公開し、誰でもダウンロードが可能
・「学校健康教育実践状況調査」にて、学校現場での活用状況を把握、研修会の感想も踏まえ、改訂

強み

  • 教職員向けの指導教材の充実
    • 毎年度作成している「学校健康教育必携」は、埼玉県の健康教育の方向性を示しており、その中には指導事例も掲載しているので、他県から欲しいと言われることも多く、県ホームページで公開している。(県担当者)
  • 他ステークホルダーとの連携
    •  衛生部局との連携がうまく取れている。例えば不妊をテーマとした際は、県健康長寿課作成の冊子を研修会で紹介し、高等学校でのモデル授業で活用配布した。(県担当者)
    • 埼玉県母性衛生学会に養護教諭が理事として関わっているため、学会では必ず保健教育の発表時間が設けられる。現場の状況がアカデミアに伝えられる貴重な機会となっている。(講師)

課題

  • 中長期的な評価中長期的な評価
    • 教職員だけでなく生徒への効果等、中長期的に効果を見たいが、どのように評価すべきか。(県担当者)
  • 性情報の氾濫
    •  今は、欲しい情報がすぐにインターネット等で得られるが、すべて正しい情報とは限らない。生徒の中には正しくない情報を鵜呑みにして誤った行動選択をしているものも見受けられる。(講師)

今後の展開の方向性

  • 事業の継続事業の継続
    •  県として独自の予算を確保し、事業を今後も継続したい。(県担当者)
  •  外部講師の派遣サポートの強化
    •  医師会、歯科医師会、薬剤師会、助産師会といった関連団体との繋がりはあるが、組織的な連携ではない。講師候補のリスト化等、学校が外部講師を呼びやすい仕組みづくりができると良い。(県担当者)

他のステークホルダーへの期待

    • 今後も国には、「性教育が重要」というメッセージを発信してほしい。(県担当者)
    •  保健科教育の指導方法について、大学等の教員養成機関で単位数を増やすなど力を入れてほしい。(講師)
    •  国の調査結果等、授業に活用できる信頼性のあるデータを一元化して公開してほしい。(講師)
  •  体育・保健体育科の教員
    •  授業の目的や教えるべき内容を正しく把握し、授業に臨んでほしい。(講師)


インタビュー協力

【県担当者】

  • 埼玉県 教育局県立学校部 保健体育課 健康教育・学校安全担当主幹 増田 博成氏
  • 埼玉県 教育局県立学校部 保健体育課 健康教育・学校安全担当指導主事 武田 直美氏

【講師】

  • 埼玉県性に関する指導課題解決検討委員 高等学校養護教諭

インタビュー実施:2017年11月