新潟県

地域密着型の各保健所の主体的な取り組みにより、地域の特性や課題にあった性教育(エイズ・性感染症予防)を提供

基本情報

  • 性教育の指導方針(公開資料)
    • 公開なし
  • 取り組みの概要
    • 感染症対策の一環であるエイズ対策促進事業にて、保健所が主体となりエイズ・性感染症に関する講演会を教育機関において実施している。

取り組みの背景

  • 少なくとも20年以上継続されている。詳細は不明だが、平成5年に厚生省より公布された「保健所におけるエイズストップ作戦関連事業について」にある、青少年に対するエイズ予防教育として開始もしくは推進されたと思われる。

取り組み内容

エイズ・性感染症予防と望まない妊娠等の母子保健事業とは「性行動」という共通項があるため、事業の連携を図り取り組んでいる。

■ エイズ・性感染症に関する講演会(以降、講演会)

対象者
  • 公立・私立中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学・専門学校の生徒。対象学校や学年の決定は各保健所に一任
  • 平成28年度は新潟県全体で44校、参加生徒数9,730名に実施
講師
  • 地域の特性に応じて、各保健所が決定。地域の産婦人科医や助産師、保健所の職員が実施することが多い
予算措置
  • 健康対策課(感染症対策係)の「特定感染症予防事業費(エイズ対策促進事業)」より拠出。県内12か所の保健所から年度ごとに提出される、実施日時、場所、対象者、講師、講演内容、保健所内の懇談会の有無等を含む実施計画書を基に、各保健所の事業費額を決定
実施頻度
  • 学校毎に年1回
内容
  • 講演会の内容は、保健所が地域の状況や課題に基づき決定する
  • 健康対策課では、年度末に各保健所から提出される報告書で具体的な実施内容を把握している
  • 保健所感染症対策担当者会議にて、各保健所での取り組み状況を共有している

強み

  • 各保健所の主体性
    • 地域に密着している保健所が管轄地域の事業の企画、実施を主導するため、地域の課題に応じた内容で展開できる。
  • 2事業からの予算拠出
    • 健康対策課感染症対策係担当のエイズ対策促進事業だけなく、同課母子保健係担当の生涯を通じた女性の健康支援事業でも「性行動」という共通項があるため、事業の連携を図り実施できる枠組みとなっている。

課題

  • 講師の確保
    • 新潟県は医師不足が深刻であり、特に産婦人科医の不足は顕著であるため、講師の確保が困難。保健所保健師が授業を行うこともあるが、地域の産婦人科医や助産師等とのネットワークづくりへのきっかけにもなるため、各保健所はその点も踏まえて、戦略的に講師を選択している。

今後の展開の方向性

  • 事業の継続
    • 各保健所が地域の実情に合わせて主体的に事業が実施できるように、県としては予算を継続的に確保すべく、必要性を訴えていく。

他のステークホルダーへの期待

  • 国(厚生労働省)
    • エイズ対策促進事業に係る予算措置の継続。
  • 学校
    • 生徒たちのニーズや実情に合った、学習指導要領を超える内容も外部講師による講演会に含める等の柔軟な対応。

インタビュー協力

【県担当者】

  • 新潟県福祉保健部 健康対策課

インタビュー実施:2017年11月

新潟県の各保健所を中心とした取り組み


妊娠期から継続して関われる地域の医療体制構築を目指し、高等学校での性教育授業に医療専門職の講師を派遣

保健所と市の保健部門が連携し、高等学校での性教育授業に医療専門職の講師を派遣

独自に作成した教材と学校のニーズの組み合わせによる中学校の性教育授業への専門家派遣